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『日本のロボット研究って変ですね』 星野 力 |
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いきなり自分の宣伝で恐縮ですが、最近「ロボットにつけるクスリ-- 誤解だらけのコンピュータサイエンス」という本を、アスキーから出しました。その中で日本の、とくに日本の大学におけるロボット研究に批判的な文章を書いたので、このコメントを依頼されたようです。ロボカップ以外のロボット研究にも(区別が付きにくいので)八つ当たりしています。しかし、私はロボカップとその趣旨にすごく魅力を感じて最初から参加したかった(参加しそびれましたが)、ロボカップの隠れ大ファンであることを告白しておきます。 1.まだ世間(とくに大学)には解析幾何学を使ってひたすら軌道計算し、センサーベースだと自慢しているロボットが生存しています。メカは貧弱、実社会では危なくて使えそうもないので実用指向とはいえないし、人間の知能の解明をしている訳でもなさそうで、不思議な研究です。これらが淘汰されないでいる訳は、世間(マスコミ)がちやほやしているからでしょう。ロボットのおどろおどろしいメカが動いていると、何か知的な生き物を感じてしまう(錯覚してしまう)というチューリングテスト的状況があります。 2.I.アシモフの「ロボット工学3原則」は、実装しようとしたらただちにフレーム問題に直面して絵に描いた餅となります。「3原則は行動プログラムではなく、埋め込まれた基本原理や設計指針という解釈」だと主張する若手もいます(パネル討論「SFのロボットを科学する」日本ロボット学会誌Vol.12,No.3, 1994)。実現できない設計指針を肯定的に語るのは誇大宣伝といわれても仕方ないでしょう。それとも役人やスポンサーをだます方便として3原則が使われているのでしょうか? 3.アトムかガンダムか?アトムは日本のロボット研究のシンボルだとか。一方、学生たちにアンケートをとると、「アトム型よりガンダム型の研究がしたい」という切実な声が聞こえきます。アトムよりガンダムやパトレイバーの方が応用的には真っ当で(でも巨大ロボットである必要はない)、とくにパワード・スーツ(R.ハインライのSF『宇宙の戦士』)の人間ロボット間インターフェイスを実現することは、工学的に大変チャレンジングなテーマです。 4.最近のロボカップでの日本の敗因は、日本のロボットが勝つために設計されていなくて、目的が不明確な趣味的な、良くいえば万能型のロボットだからではありませんか?勝つことに特化すれば勝てるのは当たり前だと批判する前に、まず勝てるロボットを作りましょう。そしてそれを汎化すればいい。そのためには汎化しないと勝てないようなルールを提案すればいいと思います。たとえば、ゴールのサイズや重要なパラメータは試合開始直前に乱数で決めるとか。私が主催したことがあるノンゼロサム・ゲームコンテストではそうしました。でないと、固定したパラメータに特化したプログラムがエントリーして優勝をかっさらうという面白くないことが起こります。人工知能とは、ある特定の条件や事例でしか有効でないインスタンスを汎化する努力であったはず。きっとそれは国際的にも理解されるでしょう。 (2000.2.16) |