Biscuit ビスキュイ
お菓子作りはスポンジケーキに始まりスポンジケーキに終わる、かどうかはわからないが、少なくとも初心者が最初にぶつかる難関であることに間違いはない。が、ここでは失敗しないスポンジケーキの作り方を伝授するつもりはない。
フランス菓子の本をひもとくと、私たち日本人が「スポンジケーキ」として理解しているものをビスキュイ<biscuit>と書いてあったりジェノワーズ<genoise>と書いてあったりすることがある。どう違うのか? これはお菓子の世界に足を踏み入れた者が最初に行き当たる疑問の一つと言ってもいい。
ビスキュイは別立て式のスポンジケーキ。
ジェノワーズは共立て式のスポンジケーキ(ホットスポンジ)。
という理解のしかたもある。大きく間違っているわけではない。が、正解ではない。
ビスキュイはスポンジケーキ全般を指すことばであって、「製法」を表しているのではない。ジェノワーズは「製法」の分類であり、上に書いたとおり共立て式のホットスポンジの事である。では別立て式を何というかというと、ヴィエノワーズ<viennoise>と言う。ヴィエノワーズの代表的な生地はビスキュイ・ジョコンドである。
つまり、ビスキュイとはスポンジケーキ(日本人がイメージするよりその概念の包括する範囲は広い)の総称であり、製法からくる分類としてジェノワーズとヴィエノワーズがあるのだ。
で、何故、そういう名前が付いたかというと、genoise というのはイタリアのジェノバ風、viennoiseというのはオーストリアのウィーン風と言うこと。ジェノバは暑い、ウィーンは寒い、温かい製法はジェノバ風、冷たい製法はウィーン風。ウソみたいな話だけれど本当だ。この話は昔、エコール・ルノートルの先生から聞いた。
また、ヴィエノワーズはヴィエノワズリー<Viennoiserie>(パン菓子)とは違うことを申し添えておこう。ヴィエノワズリーはクロワッサン、ブリオシュ、パン・オ・レザン、パン・オ・ショコラなどの発酵生地や折り込みの発酵生地を使った製品、特質粉を使ったパン・ド・ミやブリオシュ生地のパンなどを指す。