焼き菓子の食べ頃

 同じお菓子でもコンディションによってその美味しさが全く変わってしまう。
よく、焼き菓子、特にバターケーキの系統は出来上がってから、1,2日置いた方が美味しいと言われる。それもうなずけるものがあるのだけれど作る人にしか味わえない出来たての美味しさを持つ菓子も少なくない。そしてその出来たての味と、48時間置いた味は全く質の違った美味しさなのだ。
 このサイトに掲載している私のルセットの中で、それが顕著なのは例えばフィナンシエマドレーヌガトーバスクなどである。

 これらの菓子は贈答用としてもポピュラーであるので焼きたてを食べる、と言う発想がそもそもない。フィナンシエやマドレーヌの焼きたては外側がカリッとしていて少し卵くさい。この卵の香りを極上と感じるか、雑味と感じるかは意見の分かれるところだが。ガトーバスクは焼きたてはどちらかというとクッキーに近い食感、48時間後にはバターケーキだと言った方が納得できるものとなる。
 で、不思議なのは焼きたてが美味しく、48時間〜72時間後に食べた方が美味しいお菓子は、たいてい24時間で食べるとただただ平凡な味なのだ。私のガトー・バスクやパン・ド・ジェーヌなどで顕著である。

 残念な事に贈答用にされている焼き菓子は贈る方も貰う方も、また売る方もこういったことに無頓着である。焼き上がってから24時間だの48時間だののレベルの話ではない。カビが生えてなくて、乾燥していなくて、賞味期限が切れていなければ食べ頃だと思われている。
 お菓子によってその寿命は違うが、ある程度熟成されたあと、緊張の糸が切れたかのように、味がぼやけてくる。
 高級菓子店の寿命の尽きた焼き菓子を食べている人の何と多いことか。

2003/07/21